重力負けとは
整体院の広告などで
「体の歪み」
という言葉をよく目にします。
体の歪みって
特別な人に起こる
体によくないこと。
そんなイメージを持っている方が
多いかも知れませんが
体の歪みは
特別変わったことをしなくても
日常動作の繰り返しの中で
多くの人の体に自然と生まれる
よくある現象です。
体は柔軟性があるので
大きくねじったり横に倒したり
歪めたりしてみても
力を抜けば
ちゃんと元の姿勢に戻ります。
このように
関節の位置も筋肉の緊張も
ちゃんと元通りになる状態であれば
何も問題はありません。
問題になるのは
その歪みが元に戻らないまま
何年も続いてしまう時です。
「そんなことあるの?」と
思われるかも知れません。
ですが
多くの人が気付いていないだけで
その様な状態になっている人は
とても多いのです。
体のコンディションが悪くなると
体が傾いたまま
元に戻らなくなります。
この状態になってしまうと
体重の分散が上手く出来なくなり
さまざまな不調を引き起こすので
問題なのです。
体重というのは
重力の働く地球上では
それなりの負荷として
体に作用しています。
試しに自分の体重と
同じ重量の重りを
持ち上げてみて下さい。
おそらく
「なかなか重たいものだな」
という実感を覚えるはずです。
人の体は数十キロから
100キロ超えの人まで様々。
私たちが動けば常に
それくらいの重量が
足の裏や膝や股関節
筋肉に加わっているわけですが
体重と同じ重りを持つと
重たさを感じるのに
自分の体重自体が気になることは
ほとんどありません。
なぜ?
それには理由があります。
人体の構造がとても上手く
出来ているからなのです。
人の体は重りを持ったときのように
極端に荷重がかかる部分があれば
重たさを感じます。
しかし
体のバランスが保たれていれば
重心軸がブレていないので
体重の負荷は全身へうまく分散され
負担を感じない構造になっています。
だから
立ったり歩いたり
少しくらいの運動をしても
体重という重さを感じずに
過ごせているのです。
ところが
体の歪みが元に戻らない状態になると
重心の軸ブレが起こり
体の構造だけでは
体重の分散が上手く出来なくなります。
このような状態に対応するため
体は無意識に反射的に筋肉を緊張させ
負荷の分散を補おうとするのです。
それまでは構造だけで無理なく
体を支えられていたものが
常に筋肉を緊張させておかないと
体を支えることが出来ない状態。
この状態を私は「重力負け」と呼んでいます。
重力負けを起こし始めた初期では
症状はほとんどありません。
だから気付きにくい。
症状を感じていたとしても
「なんとなく体が重い」とか
それくらいのよくある症状が出る程度。
その時に
「私の体は重力負けしていて
体にかかる負担をうまく分散できなくなって
筋肉が緊張してしんどくなってるんだ」
と考える人はまずいません。
単なる日常の疲れと解釈され
見過ごされていくのが普通です。
重力負けによって起きる筋肉の緊張は
いってみれば防御反応の一種です。
体が崩れて倒れてしまわないよう
自分を守ろうとして起きている反応で
悪いものではありません。
問題なのは
この反応が一時的なものではなく
重力負けが解消するまで
ずっと続いてしまうことなのです。
体のバランスが崩れたままだと
防御反応を終わらせることが出来なくて
筋肉の緊張が続きます。
体が「支えなければ崩れる」と
判断し続けているからです。
立っている時はもちろん
座っている時も
寝ている時であっても
24時間365日
体を支えるための緊張が続くのです。
体の中で起こっていることは
筋肉の緊張です。
ですが
「自分の意識で止めることのできない
筋肉の緊張が続く」
これがさまざまな不調を引き起こす
きっかけにつながります。
筋肉の緊張がずっと続くと
筋肉そのものが
痛みを出すようになります。
関節の可動域も狭くなります。
動かし難くなったり
大きく動かしたときに
痛みが出ることもあります。
筋肉の緊張が長く続くと
筋肉が骨につく部分に
炎症が起こることもあります。
重力負けが起きると
体重や圧力が関節の一点に
偏ってかかるようになります。
その結果
骨と骨が直接ぶつからないよう
クッションの役目をしている
関節軟骨がすり減り傷んでいきます。
軟骨がすり減ると
骨と骨が直接触れ合うようになり
そこに炎症が起きて
強い痛みにつながったりもします。
この状態が年単位で続くと
体は重力負けを起こした悪いバランスのまま
傾いた体の形で骨を作り直してしまいます。
これが「変形」につながります。
このような状態になるということは
体にとっての一大事です。
だからそうならないように
体が緊急事態ということで
防御反応を起こすのです。
筋肉や関節だけでなく
自律神経も影響を受けます。
緊急事態に直面すると
自律神経の交感神経が
活性化を始めます。
交感神経が活性化すると
体の末梢へ向かう血流が抑えられます。
このような反応は
血行不良の一因になり
・疲れが取れない
・体のあちこちが重い
といった不調につながります。
やがて自律神経の調整が不安定になり
リラックスしたくても
リラックスできない体になります。
呼吸は自律神経の影響を大きく受けるので
呼吸や循環にも影響します。
背中や筋肉の緊張も追い打ちをかけ
ますます呼吸が入りにくくなります。
重力負けを解消するには
深い呼吸の力が欠かせません。
しかし
重力負けが続くと
呼吸そのものが浅くなり
良い体の状態に立て直す力も弱くなります。
ここに悪循環が生まれます。
重力負けを解消できれば
体は悪循環から解放され
本来の状態を取り戻す方向へ進んでいきます。
経験的にも
歪んで固まってしまった背骨を整え
柔軟性を取り戻していくと
自律神経の働きが整ってくることを
確認しています。
ただし骨の変形が進んでいたり
組織のダメージが大きい場合は
重力負けを解消することが
物理的に難しくなります。
だからできるだけ早い内に
重力負けが解消するよう
アプローチしておかないといけないのです。
重力負けは
レントゲンやMRIでは写りません。
血液検査の数値にも出ません。
これらの検査は
骨折や炎症
臓器の異常など
はっきりとした病気を見つけるためのものです。
骨や関節の形が変形する前や
重力負け初期の筋肉の緊張は
病院の検査では見つけることが出来ません。
だから体がつらいのに検査を受けても
「異常はありません」
と言われることがあるのです。
レントゲンやMRIといった
画像検査で診断がつくようになるのは
変形やヘルニアといった
もっと後の段階になってからです。
「異常なし」と言われても
体の中では
「重力負け」という大きな問題が
残っていることがよくあるのです。
じゃあ一度重力負けを起こしたら
どうにもならないのか?
と言えばそうではありません。
重力負けは
放っておけば自然に治る時もあれば
治らないときもあります。
ただ自分でコントロール
することは難しいです。
コルセットや
姿勢をサポートするクッション
寝具など
外側から体を支えても
根本的な解決にはなりません。
一時的に楽になることはあっても
体の内側から整えようとする力が働かなければ
重力負けそのものは立て直せないからです。
体の防御反応は
重力負けの状態が無くなるまで
終わりません。
私が行っている整体は
体の内側から重力負けを解消する力を呼び起こし
体を立て直していくアプローチです。
重力負けを解消するには
関節のズレを整えること
筋肉の緊張を取ることだけでは不十分です。
自律神経の働きを整え
呼吸や血流などの循環が活性化してきてはじめて
重力負けは解消され
体が防御反応を起こさなくなります。
重力負けの解消には
この3つを同時に
整えていく必要があるのです。
この3つが整ってくれば
体にかかる負担を
上手に分散できるようになり
重力に対して
無理な緊張を続けなくてもよくなり
呼吸も深くなり
循環も改善し
より良い状態を
維持できる体が戻ってきます。
私は施術させていただいた方が
100歳まで生涯現役で動ける体づくりを
サポートしたいと考えています。
そのための軸になるのが重力負けの解消なのです。